Enterprise Manager Cloud Controlからのエンティティ・モデル・データの収集およびログの収集

Oracle Enterprise Manager Cloud Control (EM)は、Oracleのエンタープライズ情報テクノロジ(IT)管理ソリューションで、完全で統合されたビジネス主導のエンタープライズ・クラウド管理ソリューションを提供します。EMは、ログ・ファイルの検索に必要な構成情報やエンティティ間の関係など、エンティティに関する追加情報を収集して、アプリケーションのトポロジ・ビューを提供します。アプリケーション・スタック・コンポーネント全体のこれらのトポロジ・ビューは、アプリケーションの可用性とパフォーマンスに関する問題を簡単にトラブルシューティングする際に役立ちます。EMの既存のユーザーは、EMブリッジを設定して、エンティティ・アソシエーションなどのエンティティ・モデル・データとプロパティ情報をEMからOracle Logging Analyticsにインポートする自動設定を利用できます。エンティティ・アソシエーション情報は、Oracle Logging Analyticsでトポロジを構築するために使用されます。

EMからのデータの収集の詳細:

  • オンプレミス・リソースを表すEMターゲットは、Oracle Logging Analyticsのエンティティに相当します。そのため、EMで検出されたターゲットを利用すると、それらを再作成せずにログ・アナリティクスでのオンボードを迅速化できます。

  • EMのトポロジは、複雑なコンポジット・ターゲットを含め、Oracle Logging Analyticsで保持および再現されます。EMのターゲット・アソシエーションは、情報が失われることなくOracle Logging Analyticsのエンティティ関係に変換されます。

  • EMの関連するターゲット・メタデータは、Oracle Logging Analyticsにエンティティ・プロパティとして格納されるため、これらのEMリソースをより適切にモニターできます。

  • エンティティ・プロパティは、EMからOCIオブジェクト・ストレージに転送されるターゲット情報で定期的に更新され、次にEMブリッジを使用してOracle Logging Analyticsによって収集されます。

    • EMブリッジを構成するとすぐに、EMターゲットとそのアソシエーションに関する情報が収集されます。

    • EMから情報を送信し、後でOracle Logging Analyticsで収集する周期性:

      構成メトリックおよびターゲット・アソシエーション: 日次

      ターゲットおよびターゲット・プロパティ: 毎時

EMからデータを収集するためのワークフローの概要:


EMからデータを収集するためのワークフローの概要

エンティティ・データ・モデルをEMから収集できるようにするには、まずOracle Logging Analyticsサービス用にEMでターゲットをグループ化する必要があります。EMモニター対象環境でクラウド・ブリッジを作成し、ターゲット情報をOCIオブジェクト・ストレージをエクスポートします。エンティティ・データがオブジェクト・ストレージに収集されたことを確認した後、オブジェクト・ストレージとOracleログ・アナリティクスの間にEMブリッジを作成して、エンティティ情報をOracleログ・アナリティクスにインポートします。エンティティは、EMから収集されたエンティティ情報を使用してOracle Logging Analyticsに自動的に作成されます。EMのターゲットからログを収集するには、自動的に作成されたエンティティをログ・ソースに関連付けて、管理エージェントを使用してログを収集できるようにします。

EMデータの収集およびログの収集の概要ステップは、次のとおりです。

  1. EMからターゲット・データを収集するためのOCIオブジェクト・ストレージ・バケットを作成します。バケットの作成: コンソールの使用を参照してください。

  2. EMブリッジを設定する前に、必要な情報をOCIにエクスポートするためにEM環境を準備する必要があります。EMブリッジを作成するための前提条件を参照してください。

    この時点で、OCI接続が設定され、ターゲット・データが短い間隔でOCIオブジェクト・ストレージに自動的にアップロードされます。

  3. クラウド・ブリッジの設定中にEMで指定したコンパートメント名とバケット名を使用して、OCIオブジェクト・ストレージでエンティティ・データが正常に収集されていることを確認します。Oracle Cloud Infrastructureドキュメントバケットの詳細の表示: コンソールの使用を参照してください。

  4. EMホストに管理エージェントをインストールして、EMエンティティからログを継続的に収集します:

    次のタスクを完了するには、Oracle Management Agentのドキュメントを参照してください:

    • 管理エージェントをデプロイするための前提条件の実行

    • 管理エージェントのインストール

  5. オブジェクト・ストレージからエンティティ情報を収集するためのIAMポリシーを作成します。ユーザーによるEMブリッジ操作の実行の許可を参照してください。

  6. OCIオブジェクト・ストレージでエンティティ情報が使用可能になったら、EMブリッジを作成してそれを収集し、EMターゲットをモニターするための完全なログ分析の実行に役立つエンティティ・データ・モデルを作成します。EMブリッジの作成時に、エンティティはOracle Logging Analyticsで自動的に作成されます。

    ノート

    • EMブリッジの作成操作:

      すべてのEMブリッジには、特定のテナンシ内での一意の表示名が必要です。

      指定したテナンシ内の特定のOCIオブジェクト・ストア・バケットに対して配置できるEMブリッジは、1つのみです。

    • EMブリッジの削除操作:

      EMブリッジを削除しても、EMブリッジを使用して自動的に作成されたエンティティは削除されません。

      EMでターゲットを削除しても、対応するエンティティはOracle Logging Analyticsで自動的に削除されません。

    • EMブリッジ・コンパートメントの変更:

      この操作では、EMブリッジ・リソースのみが別のコンパートメントに移動します。EMブリッジの作成時に自動的に作成されたエンティティは、他のコンパートメントに移動できません。

  7. EMエンティティに関連付ける特定のソースの自動アソシエーション機能を必ず有効にします。ソースの自動アソシエーションの有効化を参照してください。EMブリッジの作成後、適格なエンティティが関連するソースに自動的に関連付けられます。

この時点で、ログはEMターゲットからOracle Logging Analyticsへの収集を開始します。ログ・エクスプローラでそれらを表示できます。

EMブリッジを作成するための前提条件

EMブリッジを作成してオブジェクト・ストレージからエンティティ・データを収集する前に、EM環境で次のタスクを実行する必要があります。詳細なステップは、『Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』Enterprise ManagerとOCIサービスの統合を参照してください。

  • OCI用にEnterprise Managerでグローバル名前付き資格証明を定義します。

  • Enterprise Managerログイン用の排他的ユーザーを設定します。

  • Oracle Logging Analyticsにデータをエクスポートするターゲットを含むEnterprise Managerグループを作成します。

  • すべてのOMSホストに対してホスト優先資格証明を定義します。

  • クラウド・ブリッジを作成して、Enterprise ManagerデータをOCIにエクスポートします。データを消費するOCIサービスとしてログ・アナリティクスを選択し、前に作成したターゲット・グループを指定します。

  • EM側でOracle Logging Analyticsのデータ・アップロード・ステータスを確認します。

ユーザーによるEMブリッジ操作の実行を許可

個々のリソース・タイプ: loganalytics-em-bridge

集約リソース・タイプの一部: loganalytics-resources-family

ユース・ケース IAMポリシー

EMブリッジは、テナンシ内の任意のコンパートメントに存在できます

  1. EMブリッジ・リソースの動的グループを作成するルールの例:

    ALL {resource.type='loganalyticsembridge'}

  2. EMブリッジ・リソースを管理するための権限をユーザーまたはユーザー・グループに付与するポリシー・ステートメントの例:

    allow group <user_group> to MANAGE loganalytics-em-bridge in tenancy

  3. EMブリッジ・リソースの動的グループがオブジェクト・ストレージを読取りできるようにするポリシー・ステートメントの例:

    allow dynamic-group <group_name> to read objects in tenancy

EMブリッジは特定のコンパートメントに存在できます

  1. EMブリッジ・リソースの動的グループを作成するルールの例:

    ALL {resource.type='loganalyticsembridge', resource.compartment.id=<loganalyticsembridge_resource_compartment_OCID>}

  2. EMブリッジ・リソースを管理するための権限をユーザーまたはユーザー・グループに付与するポリシー・ステートメントの例:

    allow group <user_group> to MANAGE loganalytics-em-bridge in compartment id <compartment_OCID>

  3. EMブリッジ・リソースの動的グループがオブジェクト・ストレージを読取りできるようにするポリシー・ステートメントの例:

    allow dynamic-group <group_name> to read objects in compartment <compartment_name>

前述の例では、テナンシまたは特定のコンパートメントのloganalytics-em-bridgeに対するMANAGE権限が提供されています。

loganalytics-em-bridgeのIAMポリシーを作成する際、各動詞で次の操作を実行できます:

Inspect Read Use Manage

EMブリッジとそのサマリーのリスト

EMブリッジに関する詳細の取得

Useには、Readと同じレベルの権限およびAPI操作があります。

EMブリッジを作成、更新または削除するか、別のコンパートメントに移動します。

EMブリッジの追加

  1. ログ・アナリティクスで、「管理」をクリックします。「管理の概要」ページが開きます。

  2. 使用可能なリソースのリストから「EMブリッジ」をクリックします。

    EMブリッジのリスト・ページに、使用可能なすべてのEMブリッジが表示されます。

  3. 「ブリッジの作成」をクリックします。

    「ブリッジの作成」ダイアログ・ボックスが開きます。

  4. 次の情報を入力します:

    1. ブリッジ名: EMブリッジの表示名

    2. ブリッジ・コンパートメント: EMブリッジ・リソースを作成する必要があるコンパートメント。これは、EMブリッジのリスト・ページで選択したコンパートメントに自動的に設定されます。

    3. 説明(オプション): EMブリッジの説明

    4. 「OEM側ブリッジ構成」「オブジェクト・ストレージ・コンパートメント」の項: EMデータが格納されるオブジェクト・ストレージのコンパートメント

    5. 「OEM側ブリッジ構成」「オブジェクト・ストレージ・バケット」項: EMデータが格納されるオブジェクト・ストレージ内のバケットの名前

    6. エンティティ・コンパートメント: エンティティを作成する必要があるコンパートメント

    「作成」をクリックします。

CLIを使用したEMブリッジ操作

CLIを使用してEMブリッジ操作を実行する前に、

使用可能なEMブリッジ操作のリスト

em-bridgeを参照してください。

EMブリッジの作成

EMブリッジを作成するには、em-bridge: createを参照してください。例:

oci log-analytics em-bridge create -ns <Namespace> -c <Object_Storage_Compartment_OCID> --display-name <EM_Bridge_Name> --bucket-name <Object_Storage_Bucket_Name> --description "<EM_Bridge_Description>" --em-entities-compartment-id <Entity_Compartment_OCID>

前述のCLIコマンドの例で:

  • Namespace: テナンシのネームスペース

  • Object_Storage_Compartment_OCID: EMデータが格納されるオブジェクト・ストレージのコンパートメントのOCID

  • EM_Bridge_Name: EMブリッジの表示名

  • Object_Storage_Bucket_Name: EMデータが格納されるオブジェクト・ストレージのバケットの名前

  • EM_Bridge_Description: EMブリッジの説明

  • Entity_Compartment_OCID: エンティティを作成する必要があるコンパートメントのOCID

EMブリッジの詳細の取得

EMブリッジの詳細を取得するには、em-bridge: getを参照してください。

EMブリッジの詳細を取得するコマンドの例:

  1. oci log-analytics em-bridge get -ns <Namespace> --bridge-id <EM_Bridge_OCID>
  2. oci log-analytics entity get -ns <Namespace> --bridge-id <EM_Bridge_OCID>

EMブリッジのリスト

EMブリッジをリストするには、em-bridge: listを参照してください。

EMブリッジをリストするコマンドの例:

oci log-analytics em-bridge list -ns <Namespace> -c <EM_Bridge_Compartment_OCID>

REST APIを使用したEMブリッジ操作

APIを使用して、次のEMブリッジ操作を実行できます:

収集されたEMターゲット・タイプとプロパティ

EMブリッジは、次のターゲット・タイプとそのプロパティをサポートしています:

EMターゲット・タイプ 対応するログ・アナリティクス・エンティティ・タイプ EMターゲット・プロパティ ログ・アナリティクス・エンティティ・プロパティ
Oracle高可用性サービス Oracleクラスタ・ノード

NodeName

-

OracleHome

node_name

omc_crs_base

oracle_home

ホスト

ホスト(AIX)

ホスト(HP-UX)

ホスト(Linux)

ホスト(Solaris)

ホスト(Windows)

なし なし
OC4J OC4J

-

omc_server_log_path

Oracle HTTP Server Oracle HTTP Server

{DOMAIN_HOME}{OracleInstance}

ComponentName

ohs_home

component_name

データベース・インスタンス Oracle Databaseインスタンス

-

MachineName

Port

ADRHome

SID

ServiceName

OracleHome

diagnostic_dest

audit_file_dest

audit_dest

host_name

port

adr_home

sid

service_name

oracle_home

DIAGNOSTIC_DEST

AUDIT_FILE_DEST

データベース・システム Oracle Databaseシステム

なし

なし

Oracle Internet Directory Oracle Internet Directory

IASInternalName

OracleInstance

ias_internal_name

oracle_instance

リスナー Oracle Databaseリスナー

OracleHome

ADRHome

{ORACLE_HOME}/../diag/tnslsnr/*/{LSNR_ALIAS}/alert

Machine

{ORACLE_HOME}/../diag/tnslsnr/*/{LSNR_ALIAS}/trace

oracle_home

adr_home

log_dir_path

host_name

trace_dir_path

プラガブル・データベース Oracleプラガブル・データベース

Name

MachineName

Port

SID

ServiceName

-

pdb_name

host_name

port

sid

service_name

domain_name

Oracle VM Manager Oracle VM Manager

なし

なし

Oracle VMサーバー・プール Oracle VMサーバー・プール

なし

なし

クラスタASM 自動ストレージ管理

なし

なし

自動ストレージ管理 自動ストレージ管理インスタンス

AdrHome

adr_home

クラスタ・データベース Oracle Database

なし

なし

Siebelコンポーネント Siebelコンポーネント

-

SARMLogDirectory

siebel_component_log_file_name

siebel_component_sarm_log_directory

Siebel Enterprise Oracle Siebel Enterprise

なし

なし

Siebelサーバー Siebelサーバー

filesystem:installdir

filesystem:logdir

-

siebel_server_install_dir

siebel_server_log_dir

siebel_component_sarm_log_directory

Oracle WebLogicクラスタ WebLogicクラスタ

DOMAIN_HOME

omc_weblogic_cluster_home

Oracle WebLogicドメイン WebLogicドメイン

DOMAIN_HOME

WebLogicHome

domain_home

weblogic_home

Oracle WebLogic Server WebLogic Server

DOMAIN_HOME

ServerNames

domain_home

server_names

Oracle WebLogicノード・マネージャ WebLogicノード・マネージャ

-

omc_nodemanager_home